みかんの白モンパ病からの回復

白モンパ病の発生

鹿児島県のみかん栽培農家の西中間氏は鹿児島経済連の果樹部会の会長やJA果樹部会の会長を歴任されており、みかん栽培にかける情熱には並々ならぬものがあります。

現在も鹿児島早生・ハウスみかん・デコポン・マンゴーと多くの品種を栽培しています。

平成25年に紅デコポンの樹勢が落ち始め、症状がひどくなると枯れ始めるために、何本かに抜根処理をせざるを得ない状況になってしまいました。

もともと大将季という紅デコポンは発根力に多少難がある品種ですが、枯死するというのは尋常ではありません。

モンパ病の症状

西中間氏のハウスをみさせていただいて、お話しをお伺いしました。ハウスの紅デコポンは以下の症状を示していました。

  • 昨年から樹勢の落ちてきた樹は元気な樹に比べ春芽が遅れるものがあった
  • 古い葉が黄化している樹もあり、枝によっては立ち枯れ症状がでている個体もある
  • 葉が黄ばんでいる樹は春芽も出ていない

これらの兆候と地上部の症状からモンパ病が疑われました。

モンパ病の確認は、根を掘り上げてかび状の菌糸を確認するのが基本です。

さっそく根を掘り上げてみると白いかび状の菌糸が確認されましたのでみかんの白モンパ病と確認しました。

枝の古い葉が極端に黄ばんでいる個所や急性症状で枯死している部分の地下部分を掘ってみると根は枯死して腐っています。

モンパ病の怖いところは病原菌が根を伝って次々と伝染していき放置していると全園に病原菌が拡大することです。

病原菌の発育温度は11℃から30℃で、適温は25℃といわれていおり、特に梅雨時期と秋口は要注意です。

一方、地上部の枝が比較的元気な個所の地下部の根は細根がまだ元気で生きていました。

モンパ病対策

みかんのモンパ病の対策についてナチュラルファームでは次の提案をしております。

  1. 土壌中のモンパ病菌の静菌化
  2. 根の健全な生育と発根促進
  3. 根の発根助長を促す土壌の団粒化の促進

今回の症状は重く、放置するとみかん園全域に広がる可能性があるため迅速に対応することにし、対策資材として次の物を使用しました。

夢ゴールド
土壌中の果樹の根を侵すモンパ病菌を静菌化させる有用微生物群を含むモンパ病対策基本資材
ハイパワー夢S
土壌環境改善、土壌の有機物の分解、土壌の団粒化、みかんの発根と根群形成
ハイパワー海
根や地上部の発育促進のミネラル供給剤
万能酵素
果樹の健全な発根促進や光合成能力向上を促進する資材

平成26年3月4日、特に症状の重い14本の木に対し以下の処理を行いました。

夢ゴールド撒布

まず樹幹周りに幅20cm・深さも20cm程度の溝を掘り、その際に根の状態も観察しておきます。

掘り上げた樹幹周りの溝に、夢ゴールドの粉末を散布していきます。

夢ゴールドを樹幹周りの溝に散布する目的は土壌中のみかんの根を侵しながら伝染していく白モンパ病菌を静菌化させることで他の樹への伝染を止めることにあります。

散布量は、白モンパ発病株の樹幹周りに夢ゴールド20L(1袋)が目安ですが、大き目の樹の場合は2袋必要になることもあります。

樹幹周りの溝に夢ゴールドの散布が終了したら掘り上げた土で溝を埋め戻します。

ハイパワー夢S潅注

次はハイパワー夢Sを使用した潅注作業に入ります。

ハイパワー夢Sの有用微生物群を潅注器で土壌中に送り込みますが、その目的は以下のようになります。

  • 有用微生物群の力で土壌の団粒化を促す
  • 白モンパ病菌に侵された紅デコポンの発根を促す
  • 土壌中の不要な有機物を分解(モンパ病菌は土壌中の残根や有機物に寄生するため)
  • ハイパワー夢Sの有用微生物群でさらなる白モンパ病菌の静菌化

手順は以下のとおりです。

  1. 1000Lの水にハイパワー夢Sを10L投入し、ハイパワー夢S100倍希釈液を作る
  2. 樹幹の周りを50cm位の等間隔で潅注器を用いてハイパワー夢S100倍希釈液を潅注する
  3. 潅注の穴に液体が吹き上がってくるまで潅注する
  4. 樹幹周りが済んだらその内側で適宜潅注を行う

以上の手順を今回の白モンパ病の症状が進行しているため3日に1回の間隔で4度行いました。

また、まだ発病していない樹に対しても伝染防止と樹勢維持のため一緒に潅注を実施しました。

さらに症状の重さを鑑みて、ハイパワー海(ミネラル液剤)と万能酵素(酵素液剤)をそれぞれ500倍希釈液にして葉面散布を3回ほど実施しました。

1ヶ月後の状況

14本あった白モンパ罹病株の中で、11本の株で春芽の発芽が確認されました。

これは、発根が促進され根が動き出してきた証拠で、ここまで春芽が動けば夏芽の伸長を促進して樹勢を回復させる見込みができたと西中間氏も喜ばれました。

樹幹まわりに夢ゴールドを処理した後ハイパワー夢Sの潅注を行いましたが、処理をした圃場の土壌表面で有用微生物の群生が確認できます。

残りの3本中、2本は春芽の発芽は確認できず、この時点での顕著な回復の兆しは無いと言えるため、夏芽の伸長まで待つことにしました。

残る1本は白モンパ病の症状が進行し、枝が枯死し始めてきていました。

残念ですが、この1本に関しては白モンパ病が進行して根の大部分がモンパ病菌に侵され根が腐ってしまったため回復が望めませんでした。

そのため、掘り上げて大苗を改植することになりましたが、その際にも先と同じように土壌をナチュラルファーム製バイオ資材で処理しておくとさらなる感染を防ぐ効果があります。

その後

春芽の伸張に続き7月から8月にかけて夏芽も伸張してきましたのでみかんの白紋羽病対策は効果が出ているといえます。

4月の処理時期において回復の傾向が思わしくなかった数本については結局枯死してしまいましたが、初期の症状の樹は回復してきています。

それ以外の樹は葉の色がもどり夏芽の伸張も良く樹勢も回復してきましたので、地下部の発根状況が改善されているとみられます。

ですが、みかんの白紋羽病からの完全回復は、処理してから1年は継続して見ていく必要があります。


今回は事後の対応となりましたが、予防の観点から土壌はもちろん自家採取でとれた貴重な種の発芽をより良くするのがベストです。

より良い発芽を確保するための裏ワザとして、播種用土にハイパワー夢100倍希釈液を散布して播種するだけの簡単な方法があります。

播種床やポットの土の場合は100倍の希釈液でもいいですが、育苗トレイでは500倍希釈液くらいの薄い濃度でトレイの培土に散布して播種するとよい結果が得られます。